2021-08-31

感謝しかありません｜2021.08

約３年間、生前整理に携わらせていただいた
ご依頼者　恵子さんの訃報を聞いたのは、
今朝のことでした

私は、ご依頼者のことは、書かない載せない
事を基本にしているのですが、
これは生前の恵子さんからのミッションです
『その日が来たらあなたの感想を公表してね』
二人の約束のひとつでした

なので、うまく綴れるのか　涙で画面も
よく見えない今　なのでどれだけまともに
感想を述べられるかもわかりません　が、
約束を守りたいと思います

恵子さんとの出会いは、5年前
私の整理収納２級認定講座を受講して
くださった事でした
私がまだ整理収納の駆け出し講師の頃です

その日は、10名以上の方が受講くださり
受講者さんの顔と名前も一致しないまま
講座を終えました

後から、そのことを反省しその日を機会に
私の少人数講座が始まりました

後日、恵子さんから
『母のものの片付けのアドバイスがほしい』
とご依頼いただきました

初めての訪問作業日
『先生に会える事楽しみだった！』と
お母様と恵子さんが並んで迎えてくださり、
帰るときも見えなくなるまで私を見送って
くださいました

すごく嬉しくて　その日から私は、
人を見送る時は、相手が振り返らなくても
いつも見えなくなるまで見送る癖がつきました

作業料金と一緒に、『晩御飯の一品にして。』
と包んでくださった肉じゃがのいい匂いが
いつまでも車の中で漂い、幸せな気持ちで
帰路を辿ったことを今でも覚えています

その後、少し経って
『生前整理を手伝ってください。』
と連絡をもらったのは、恵子さんに
大きな病気が見つかった頃でした
私が38歳の時に罹ったのと同じ病気でした

それから、
大切に集めて来たコレクションの物たちの
行き先を全て２人で決めました
高齢のお母様の施設へのお引っ越し、
度重なる入院時の持ち物整理、
コロナ禍で会うことが難しくなった時も
メールでやりとりしながら一緒に
リモートの勉強をして繋がりました

誕生日には、私とお母様で恵子さんが仕事の
間に部屋に飾り付けてサプライズをしました
一緒に多くのことをクリアしていきました

教員だった恵子さんは、
さりげない声掛けが実にタイミング良く
私がアカデミアで学んでいる時も
研究論文の締切りや試験が近くなった時も
『バテてない？　気分転換必要だよ！』
入院先からオンラインで励ましてくれたり
思いやりと知性に満ちた天性の指導者でした

人生の先輩であり、指導者の先輩でもある
恵子さんとの時間は、
「依頼者と依頼される側」という間柄を
保ちながら「人間同士」としての関係も
紡いできました

私は、きっと　しばらく
心に開いた穴を塞げない気がします
こんなことを書くと恵子さんに叱られる
と思いますが・・

感想は、「大きな感謝」　しかありません

今後は、
『よかったら全部、研究材料にしてね』
という恵子さんから頂いたもう一つの
ミッションを少しづつ取り組んで行き、
片付けが原因で、家族が壊れたり困り果てる
人がいない世界へ変わって行く為に
整理収納の仕事を続けていきたいと思います

やっぱり　うまく綴れません
2021年8月31日　伊藤まゆり

感謝しか ありません｜2021.08